夜中に突然「ワンワンワン!」と聞こえてきて、「うちの子、犬でも飼ってたっけ…?」と本気でビックリした経験、ありませんか。フクロモモンガはとにかく鳴き声のレパートリーが豊富な動物で、体の小ささからは想像もつかないボリュームで鳴くこともあります。
実はこの鳴き声、ただの「うるさい」で片付けてしまうのはもったいないんです。フクロモモンガにとって鳴き声は、表情や仕草と同じくらい大事な感情表現の手段。意味がわかってくると「あ、今お腹空いてるんだな」「ちょっと怖がってるな」と、まるで会話しているような感覚になってきます。
この記事では、フクロモモンガの代表的な鳴き声とその気持ち、夜中にうるさく鳴く理由と対策、そして実際に多くの飼い主さんがつまずきやすいポイントまで、これから飼う方にも、すでに一緒に暮らしている方にも役立つ内容をまとめました。最後には、鳴き声を記録して「うちの子クセ」を見つけるための独自チェック表もご用意しているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

フクロモモンガはなぜあんなに鳴くのか
フクロモモンガは、オーストラリア北部からニューギニア島周辺の森に、十数頭ほどの群れで暮らしていた動物です。夜行性で薄暗い森の中を滑空しながら移動するため、姿が見えにくい仲間同士のやり取りはほぼ鳴き声が頼り。視覚よりも聴覚と嗅覚に重きを置いたコミュニケーションが、彼らの生活の基本になっています。
この習性は、家庭のケージの中でもそのまま残っています。お腹が空いた、寂しい、なんか怖い、嬉しい——フクロモモンガはそうした感情をストレートに声に乗せて伝えてくるんですね。表情筋があまり発達していない分、感情の手がかりは「鳴き声」と「耳・尻尾・体勢の動き」にかなり集約されています。
正直なところ、初めて聞く鳴き声は誰でも驚きます。筆者の周りでも「夜中に小型犬が迷い込んだのかと思って飛び起きた」という体験談はよく聞きますし、実際に動物病院に「うちの子が体調悪いのかも」と慌てて駆け込んだら、ただの威嚇音だったというケースも珍しくありません。だからこそ、鳴き声の意味を先に知っておくことには大きな価値があります。
フクロモモンガの代表的な鳴き声8パターン
ここからは、飼育下でよく聞かれる鳴き声をひとつずつ紹介していきます。ただし鳴き声の解釈はあくまで「傾向」であり、個体差もかなり大きいもの。鳴き声だけで判断せず、耳の向き・尻尾の動き・直前に何があったかとあわせて見てあげるのがポイントです。

①ワンワン・アンアン(バーキング):仲間を呼ぶ声
小型犬が吠えているような「ワンワンワン」「アンアンアン」という甲高い連続音。フクロモモンガの鳴き声の中でも一番ボリュームが大きく、多くの飼い主が最初に驚かされる音です。野生では群れの仲間に居場所を知らせる合図として使われており、家庭では1匹飼いの個体が夜中にひとりで目覚めたときによく出すといわれています。
「誰かいないの?」という寂しさのサインなので、聞こえたら名前を呼んだり、手のひらの匂いを嗅がせたりしてあげると落ち着くことが多いです。
②ジコジコ・ギーギー(クラビング):警戒・威嚇の声
電動ホッチキスやセミの鳴き声に例えられる、濁った低めの「ジコジコジコ」という音。爪切りや体重測定など嫌がるお世話のときや、慣れない人に触られたときによく聞かれます。
これは「怖い」「近づかないで」という防御反応です。無理に手を引っ込めると「鳴けば嫌なことから逃げられる」と学習してしまうこともあるので、慌てず落ち着いた声で話しかけ続けるのが基本対応とされています。お迎え直後の個体がこの声を出すのはごく自然なことなので、焦らず時間をかけて慣らしていきましょう。
③シューシュー・プシュプシュ:軽い不満のサイン
クラビングほど強くはないものの、軽くイライラしているときに出る「シューッ」という音。これ以上刺激を続けると威嚇音にエスカレートすることもあるため、出てきたら一旦そっとしておくのが無難です。
④チチチ:甘え・親愛の声
ポーチの中や手のひらの上で、耳を澄まさないと聞こえないくらい小さく「チチチ」と鳴くことがあります。これは甘えや安心のサインとされることが多いですが、個体によっては緊張気味のときにも似た音を出すことがあるので、体の力が抜けているか、逃げる素振りがないかをあわせて確認するのがおすすめです。
⑤キュキュキュ:興奮・喜びの声
好物のミルワームを見つけたときや、部屋んぽで滑空して遊んでいるときに出る、テンポの速い「キュキュキュ」という弾むような声。ポジティブな感情から出ていることが多く、見ているこちらまで嬉しくなる鳴き声です。
⑥プクプク・プシュプシュ(パーリング):リラックスの声
毛づくろい中や寝入りばなに聞こえる、猫のゴロゴロにも似た柔らかい「プクプク」という音。体の力が抜けて、呼吸のリズムに合わせて断続的に出ることが多いです。この声が聞こえているときは、環境にも気持ちにも満足しているサインと考えられます。筆者の周辺でも「チーズを与えたときが一番プクプク音が大きくなる」という飼い主さんの声をよく耳にします。フクロモモンガごとに「ご機嫌スイッチ」が違うのも面白いところです。
⑦ギャッ・キャッ:驚き・痛みの声
突然の物音や予想外の接触で出る、1回だけ短く鋭い声。直前に足を挟んでいないか、ケージ内に危険な箇所がないかをすぐに確認しましょう。原因が見当たらないのに繰り返す場合は、体調不良のサインの可能性もあるため、エキゾチックアニマル対応の動物病院に相談するべき段階です。
⑧ムームー・クゥクゥ:求愛の声
繁殖期のオスが出す、低く長い声。夜間に数十分〜1時間以上続くこともあり、性成熟を迎える生後12〜14か月頃から出始める個体もいます。正常な生理現象なので止めさせるのは難しく、繁殖の予定がない場合は獣医師と相談のうえ去勢手術を検討する飼い主さんもいます。手術で頻度が下がったという報告もありますが、体が小さい分の麻酔リスクへの配慮も必要なので、フクロモモンガの手術経験が豊富な病院を選ぶのが安心です。

鳴き声まとめ早見表
| 鳴き声 | 音のイメージ | 気持ち | 飼い主の対応 |
| ワンワン・アンアン | 小型犬の鳴き声 | 呼びかけ・寂しい | 声をかけて様子を見る |
| ジコジコ・ギーギー | 電動ホッチキス風 | 怖い・警戒・威嚇 | 落ち着いて刺激を控える |
| シューシュー | 短いシューッ | 軽い不満 | そっとしておく |
| チチチ | かすかな高音 | 甘え・安心(緊張のことも) | 体の状態とあわせて判断 |
| キュキュキュ | 弾むような高音 | 興奮・喜び | そのまま見守ってOK |
| プクプク | 喉を鳴らすような音 | リラックス・満足 | そのまま見守ってOK |
| ギャッ・キャッ | 短く鋭い一声 | 驚き・痛み | 原因確認、続くなら受診 |
| ムームー・クゥクゥ | 低く長い音 | 求愛(オス) | 必要なら去勢を相談 |
フクロモモンガが夜中にうるさく鳴く理由と対策
「夜中の鳴き声で眠れない」というのは、フクロモモンガ飼育者が最もよく抱える悩みのひとつです。これは夜行性という習性に直結していて、人間が寝静まる時間こそが彼らの活動のピークにあたります。
夜鳴きの主な原因は3つ
1つ目は仲間を呼ぶバーキング。特に1匹飼いの場合、夜中に目を覚ましたときの寂しさが引き金になりやすいです。
2つ目は空腹。日没後から活動を始めるため、夕方にセットした餌を食べ終えた深夜に小腹が空いて鳴くことがあります。ここで鳴くたびにおやつを足してしまうと「鳴けばもらえる」と学習し、肥満や栄養バランスの崩れにつながるリスクがあるので注意が必要です。対策は追加給餌ではなく、給餌のタイミングや量そのものを見直すことです。
3つ目は求愛行動。性成熟したオスが繁殖期に長時間鳴き続けるケースです。
今日からできる夜鳴き対策
- 就寝前にケージ内の餌・水を十分に用意し、回し車やロープなど遊び道具を設置して退屈させない
- 飼い主の匂いがついたフリース布をケージに入れる(ほつれにくい素材を選び、糸がほつれたらすぐ交換。誤飲・絡まり事故防止のため)
- 寝室とケージの設置場所を分ける(壁を1枚隔てるだけでも体感音量はかなり下がります)
- ケージ周りに防音マットや厚手のカーテンを併用する(通気性は確保しつつ)
- 可能であれば多頭飼いを検討する(仲間ができたことで夜鳴きの頻度が大きく減ったという飼い主さんの声も多くあります。ただし相性の見極めは必須)
集合住宅にお住まいの場合、近隣への配慮として「ケージを壁から離す」「防振マットを敷く」「アクリルやケージカバーで囲う」の組み合わせはかなり効果的です。ただし完全に無音にすることはできないので、入居前にペットの飼育ルールや壁の構造を確認しておくと安心です。

鳴き声で気づく体調変化のサイン
毎日鳴き声を聞いていると、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。フクロモモンガは体が小さい分、体調を崩してから悪化するまでのスピードが早い動物。だからこそ「いつもと違う」を見逃さないことが大切です。
普段おとなしい子が急に「ジコジコ」と頻繁に鳴き始めたら、どこかに痛みや不快感がある可能性があります。食欲の低下や排泄物の変化、被毛の乱れなど他のサインとあわせてチェックしましょう。
逆に、よく鳴いていた子が急に静かになった場合も油断は禁物です。元気がなくなって声を出す体力が落ちているケースや、ストレスで縮こまっているケースが考えられます。ケージの温度が適温から外れていないか、近隣の工事音など環境の変化がなかったかも振り返ってみてください。
わが家流・鳴き声×行動の記録チェックリスト
鳴き声を理解する一番の近道は、実は「記録」です。フクロモモンガは個体差がかなり大きい動物で、同じ「ワンワン」でも、お腹が空いたときに出る子もいれば、単に飼い主の姿を探しているだけの子もいます。そこでおすすめなのが、スマホのメモやノートに以下の3点だけをサッと書き留めていく方法です。
- 時刻(例:21時/深夜2時 など)
- 鳴き声の種類(ワンワン・ジコジコ・プクプクなど)
- 直前の状況(餌皿が空だった・手のひらに乗せた直後・物音がした など)
これを1〜2週間続けるだけで、「うちの子は空腹より寂しさで鳴くタイプだ」「触られた直後にジコジコ言うけど、3分待てば落ち着く」といった、その子だけの“鳴き声のクセ”が見えてきます。動物病院に相談する際も、こうした記録があると獣医師に状況を正確に伝えやすくなり、診断のヒントにもなります。鳴き声の意味を本やネットで知るだけでなく、自分の子のデータとして蓄積していくこと——これが、フクロモモンガとの距離をぐっと縮める一番の近道だと感じています。

鳴き声を通じて信頼関係を深めるには
フクロモモンガとの暮らしで嬉しいのは、鳴き声の意味がわかるようになるにつれて「会話している」感覚が生まれてくることです。餌を交換するときに名前を呼ぶ、ポーチから出すときに同じフレーズで声をかけるなど、特定の音と安心できる体験をセットにしていくと、フクロモモンガは飼い主の声を「安全な合図」として覚えていきます。
フクロモモンガの寿命は飼育下で7〜15年ほどとされており、決して短くない年月をともに過ごす相棒です。最初は戸惑う鳴き声も、聞き分けられるようになるころには「今は機嫌がいいな」「ちょっと寂しいのかな」と、自然に読み取れるようになっていきます。
まとめ
フクロモモンガの鳴き声には、仲間を呼ぶ「ワンワン」、警戒の「ジコジコ」、甘えの「チチチ」、喜びの「キュキュキュ」、リラックスの「プクプク」、驚きの「ギャッ」、求愛の「ムームー」など、代表的なものだけでも8パターンほどの意味があります。最初は驚かされる鳴き声も、ひとつひとつの意味を知るだけで、フクロモモンガが今どんな気持ちでいるのかをぐっと理解しやすくなります。
夜中の鳴き声に悩んでいる場合は、給餌タイミングの見直し、遊び道具の準備、防音グッズの活用、ケージの設置場所の工夫といった対策を組み合わせることで、飼い主自身もフクロモモンガも快適に過ごせる環境を作っていけます。
そして何より、鳴き声と行動を記録していく習慣は、その子だけの個性を知るための一番の近道です。今日からぜひ、小さな声のひとつひとつに耳を傾けてみてくださいね。


